基本的な考え方

DOWAグループでは、サプライチェーンにおけるCSRの重要性について、お取引先にもご理解をいただくことでパートナーシップを強化しつつ、さらなるCSRの向上に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体で生物多様性・生態系に配慮した事業活動を行うことで、生物多様性の保全に取り組みます。

サプライチェーン管理

DOWAグループCSR調達ガイドライン

当社グループは、サプライチェーン全体でサステナビリティを推進していくために、2014年度に当社のお取引先に向けた「DOWAグループCSR調達ガイドライン」を定め、社会情勢に応じた適宜改訂(現在、第1.6版)をしています。当ガイドラインは、当社の「CSR調達方針」ならびに「責任ある鉱物調達方針」に基づき、当社グループのCSR調達における基本的な考え方と行動規範を示し、お取引先に対してサステナビリティ経営の推進についての理解ならびに当ガイドラインの遵守を要請しております。なお、毎年のセルフチェックリストの配布時ならびに新規取引開始時には、当ガイドラインの遵守の伝達し、周知をしています。また、CSR調達に関連する方針はWebサイトを通じて広く公表しています。

DOWAサプライヤー行動規範

(1)法令遵守・公正取引

(2)最適な品質と適正価格

(3)安定供給体制の構築

(4)サステナビリティ

(5)情報の保護

(6)管理システム

1)人権・労働

2)安全衛生

3)環境保全

4)社会・地域貢献

  1. 汚職・賄賂などの禁止
  2. 優越的地位の濫用の防止
  3. 不当な利益
  4. 公平な事業、広告、競争
  5. 正確な製品・サービス情報の提供
  6. 知的財産権
  7. 適切な輸出管理
  8. 情報の公開
  9. 不正行為の予防・早期発見
  10. 内部告発者の保護
  11. 責任ある鉱物調達
  12. 報復の禁止
  1. 製品安全性の確保
  2. 品質マネジメントシステム
  1. 確実な納期の確保
  2. BCP(事業継続計画)の策定
  1. 雇用の自主性
  2. 人道的な処遇
  3. 児童労働の禁止
  4. 不当差別禁止
  5. 賃金と給付
  6. 労働時間
  7. 結社の自由
  1. 機械装置の安全対策
  2. 職場の安全
  3. 産業衛生
  4. 労働災害および疾病
  5. 緊急災害時への備え
  6. 肉体労働
  7. 衛生設備、食事、住居
  8. 従業員の健康管理
  1. 製品の含有物質規制
  2. 危険有害物質
  3. 環境マネジメントシステム
  4. 省資源化と省エネルギー
  5. 排水
  6. 廃棄物
  7. 大気排出
  8. 環境許可証と報告
  9. 温室効果ガスの排出量削減
  10. 環境保全への取り組み状況の開示

全般

  1. コンピュータ・ネットワーク脅威に対する防御
  2. 個人情報の保護
  3. 顧客・第三者の機密情報の漏洩防止
  1. 企業のコミットメント
  2. 経営のアカウンタビリティとレスポンシビリティ
  3. 法律と顧客要求
  4. リスク評価とリスク管理
  5. 改善目標
  6. 研修
  7. コミュニケーション
  8. 従業員のフィードバックと参加
  9. 監査と評価
  10. 是正措置プロセス
  11. 文書化と記録
  12. サプライヤー責任

セルフチェックアセスメント

当社グループでは、お取引先自身がサステナビリティ推進の仕組みや実態等について、「CSR調達ガイドライン」に基づいたセルフチェックリストによる自己評価を行う取り組みを実施しています。これにより、サプライチェーンにおける法令遵守・公正取引、最適な品質と適正価格、安定供給体制の構築、サステナビリティ(人権・労働、安全衛生、環境保全、社会・地域貢献)、情報の保護、管理システムの課題を継続的に把握・評価しています。2022年度は、主要取引先および新規取引先約140社にセルフチェックリストを配布しました。セルフチェックリストに回答したお取引先にはフィードバックレポートを通じて、当社からの期待や改善の項目を伝え、サステナビリティの推進を要請しています。

CSR監査

当社グループでは、2015年度からお取引先が回答したセルフチェックリストの結果等に基づき、環境面、社会面等における高リスクサプライヤーを確認し、必要に応じてCSR監査を実施します。CSR監査では、お取引先へサプライチェーンに関わる社会情勢、当社のCSR活動や「CSR調達ガイドライン」をお伝えするとともに、セルフチェックリストの結果に基づいたヒアリングと書類確認、サイトの安全や環境の取り組み状況を確認します。また、CSR監査は、サステナビリティ部門、調達部門で構成したチームで実施しますが、お取引先の資材に関連する担当者も監査へ参加し、お取引先との信頼関係の強化と当社のCSR調達活動のさらなる社内浸透を図っています。

監査結果

当社は、監査へ協力いただいたお取引先のサステナビリティ活動の推進に活用いただくため、CSR監査後に報告書にて監査結果をフィードバックします。フィードバックでは、優れた点を評価するとともに改善すべき点を指摘し、その是正についてお取引先で具体的な改善方法や指摘の詳細が不明な場合は、ベストプラクティスの共有や対応指導等により改善をサポートをします。

責任ある鉱物調達

DOWAグループは金属素材を扱う企業の社会的責任として、人権、環境、倫理などに配慮した責任ある鉱物調達に取り組んでいます。金属を使用する製品は、自動車、電子機器、電化製品と膨大に存在し、世界中で流通することで、私たちの生活を支えています。情報開示のいかんにかかわらず、これらの製品原料である鉱石の調達が紛争を長引かせ、人権侵害を助長することはあってはなりません。


当社は「DOWAグループ責任ある鉱物調達方針」を定め、紛争地域および高リスク地域における人権侵害などのリスクや不正に関わる組織の資金源となるおそれのある鉱物を原料として使用しないこととしています。タンタル・タングステン・金・銀・すず・亜鉛を含む鉱物原料のすべての購入先について、デュー・ディリジェンス(以下、DD。リスク評価を指す)を実施し、特定したリスクに対しては適切な対応を行っています。DDの実施に際しては、「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンスガイダンス」に従って取り組みを進めています。


また、当社グループは、日本国内に複数の製錬所を有しており、金や銀をはじめとする多種類の金属を生産しています。これらの製錬所では、当社の金属をあらゆるお客様に安心してご利用いただくために、責任ある鉱物管理の体制および実施状況に関して定期的に第三者機関による監査を受けています。
私たちは、サプライチェーンの上流に位置する製錬事業者が果たすべき役割として、紛争や人権侵害に関連しない金属の供給体制を構築することで、責任ある鉱物調達に努めています。

責任ある鉱物調達に関する取り組み状況

当社は「LBMA Responsible Silver Guidance」ならびに「Joint Due Diligence Standard for Copper, Lead, Molybdenum, Nickel and Zinc」に基づき、責任ある鉱物調達に関する独立した第三者評価を受けております。

取り組み

サプライヤー要請対応

サプライチェーンマネジメントについては、原料調達はもとより開発・生産・販売・サービスに至る一連の事業プロセスに関わるサプライチェーン全体で取り組むことが社会的に求められており、当社グループも、当社のお取引先からCSR調達関連の要請を受けます。これら要請に対して、迅速に、かつ適切に対応するため、HD、事業会社や事業子会社の営業、製造、調達、人事、総務、サステナビリティ等の部門間で連携し、対応します。

事業継続計画(BCP)の取り組み

B to Bビジネスを主とする当社グループにとって、サプライチェーンの途絶は納入先であるお客様の生産・販売へ与える影響が大きいため、主要なお取引先にはCSR調達を通じて災害発生時の速やかな事業復旧・継続に関するBCPの策定状況を確認しています。

サプライチェーンにおける社内研修

DOWAグループでは、CSR調達方針、CSR調達ガイドラインの示す精神を調達活動に反映するため、毎年1~2回程度、グループ内の購買担当者会議において、CSR調達に関する勉強会を開催しています。サプライチェーン上のサステナビリティリスクについて情報を共有し、マネジメントの重要性などについて学ぶことで、意識の向上を図っています。

外部団体との協働

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「サプライチェーン分科会」のメンバーとして、2017年より参加しており、UNGCの掲げる4分野10原則精神をサプライチェーンに反映するため、参加企業各社と共にCSR調達の啓発ツールやCSR調達担当者の実践ツール制作をしております。