DOWAグループは、AIやIoT等のデジタル技術を用いたデータ利活用の推進により、事業の根幹を成すものづくりを変革し、事業・ビジネスを進化させることが不可欠であると認識しています。そのため、DX基本方針を「ものづくりの変革」(DOWA Transformation)と定め、グループを挙げてDXの実現を目指しています。
グループ全体で、データとデジタル技術を活用して、業務そのものや組織、プロセスを変革するためには、セキュリティが担保されたIT基盤を、専門の知識・スキルを持った人材が用いて、事業戦略を推進することが不可欠です。そのため、「中期計画2024」においては、主に「IT基盤の構築」と「DX人材の育成」を重点施策とし、各活動を推進しました。
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DOWAグループのDX戦略(中期計画2024 補助資料)
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「中期計画2024」の3年間にわたる取り組みにより、DX本格化に向けた準備が完了しました。今後、DXを事業成果(ビジネスの成長)に結びつけていくためには、推進体制のさらなる強化、リソースの適切な配分による効率化、評価の仕組みの確立が求められます。そのため、「中期計画2027」では、DXの推進に向けた各取り組みに対して「2030年のありたい姿」を設定し、理想的な状態と現状とのギャップを整理しました。そして、2030年までのギャップを埋めるための取り組みをまとめたロードマップを作成しました。以下の主な施策や指標もこのロードマップに基づいています。
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2030年のありたい姿 |
施策 |
施策概要 |
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安全なセキュリティ体制のもと、AI等デジタル技術を通じたデータの利活用により省人化、無人化が進むとともに、高度な操業・業務管理を実現している |
既存技術・業務の改革推進とセキュリティ強化 |
IT技術、データ利活用の推進により、ものづくりを変革するとともにセキュリティ強化を推進する |
2022年4月からサステナビリティ委員会の傘下にDX推進ワーキンググループ(WG)を設置しました。同WGでは、AI・IoT等の改善に関する目標を定め、各事業におけるDXプロジェクト等のニーズ・課題・進捗の確認を行いながら、リソース提供等の支援を行います。
グループの各拠点においてDXを推進するために、国内主要拠点(秋田・関東・中部・岡山)に生産技術および情報システムに関するサポートセンターを設置しました。各サポートセンターでは、AIに関する各種改善支援(画像解析、音響解析、データサイエンス、自然言語処理)を行うほか、クラウド活用・情報セキュリティに関する各社の状況調査を行い、ニーズに対する提案などを行っています。
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主な施策 |
指標 |
目標 |
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IT基盤の構築 |
グループ共通クラウド基盤の運用 |
2023年度下期運用開始 |
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DX人材の育成 |
育成人数 |
累計80名(2022~2024年度) |
オフィスや工場における自働化・効率化・省人化などの多様なニーズに対応するためには、様々なデジタル技術を活用した幅広いシステムが必要となります。当社グループでは2021年度にグループ全体で利用する新たなIT基盤(グループ共通クラウド基盤)の構築に着手しました。コロナ禍でのプロジェクト進行となったことから、分散勤務や急な体調不良による進捗の遅れなどに直面しながらも、計画を前倒しして2023年8月より運用を開始することができました。これにより本格的にDXを展開する体制が整いました。
各工場独自の生産管理システムなどのクラウド基盤への移行や海外拠点におけるIT基盤の整備を計画しており、事業や拠点をまたいだデータの連携や共有、例えば、環境・リサイクル部門と製錬部門間でのリアルタイムな情報共有など、従来のIT基盤ではその実装に多くの時間と労力が必要であったようなデータ利活用を推進していきます。
DX推進には、各事業拠点において実際にデジタル技術を活用できる人材が必要となります。しかし、社外人材の活用には多くの制限が伴うことから、当社グループでは、社内でDXを推進できる人材の育成を行っています。特に、現場の改善につながりやすいAIの活用については、従業員のステージに応じて、段階的に学びを深められるコースを用意し、2022年度下期から研修を開始しました。
「中期計画2024」では、社内でDXを推進できる人材の育成を強化するため、2022年度から2024年度の3年間で累計80名のDX人材を育成することを目標としました。2024年度は、現場におけるDXへの期待感の高まりを受けて、予定人数を超過する72名への教育を実施することができました。その結果、2022年度から3年間の累計教育人数は193名に上り、「中期計画2024」の目標として設定した累計80名を大きく上回りました。
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主な施策 |
指標 |
目標 |
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DX/AI・クラウド活用による事業変革 |
DX推進指標(経営視点) (*) |
3.3 (2027年度) |
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ITガバナンス強化 |
DX推進指標(IT視点) (*) |
3.0 (2027年度) |
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DX人材の育成 |
DXエンジニア育成人数 |
累計150名( 2025~2027年度) |
(*) 「DX推進指標自己診断フォーマット」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供するツール。評価点はIPAが提供するフォーマットに従って自己採点で算定します。
日々進化を続けるサイバー攻撃から生産活動を支えるシステムを守るために、新しいクラウド基盤では、脅威となるウイルスを「持ち込まない」「侵入させない」「拡散させない」ための最新のセキュリティ技術を取り入れています。また、サイバー攻撃による工場ラインの停止などの事業リスクを想定したサイバーインシデント対応訓練を繰り返し実施することにより、その実効性を高めています。また、当社グループの従業員がサイバー攻撃やウイルスメールの危険性などのセキュリティリスクに対する理解を深め、日頃の業務に取り組むこともセキュリティ強化には不可欠です。そのためランサムウェアやビジネスメール詐欺など誰もが知っておくべき情報セキュリティの基礎・基本をわかりやすく解説した資料・動画教材を、社内イントラネットで公開するなど従業員の情報リテラシー向上を図っています。
グループ内にDXに関する知見を有する人材が増加した結果、グループ各社でDXの実践が本格化しました。2022年度からの3年間で100件を超えるAIを活用した現場改善が実施されました。各工場が保有する膨大な操業データを上手く統合したうえで、データサイエンスを活用して操業改善につなげる取り組みが進んでいます。これらの取り組みを各工場内にとどめるのではなく、共有知として、グループ内で活用する取り組みにも注力しています。
【データサイエンスの活用事例】
- 製品品質に影響を与える操業要因の特定
- AIを活用した画像検知による事故災害の未然防止
- AIアルゴリズムを活用した操業条件の最適化
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取り組み事例 |
成果 |
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すず精製におけるデータサイエンスを活用した品位・収率向上 |
品質異常のゼロ化 |
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AIによる貴金属めっき生産計画の策定効率化 |
1日の作業時間を5時間短縮 |
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AIを活用した伸銅品の表面不良箇所の検出 |
人による検査数を90%以上削減 |
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画像AIを応用した人検知システムによる設備安全性の向上 |
検知制度98%以上の達成 |
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DOWA生成AIシステムの運用 |
事務作業の効率化 |
DOWAメタニクスではコイル状の伸銅品を製造しています。伸銅品は表面に欠陥がないことが求められるため、欠陥箇所を検出するために画像による自動検査を行っています。しかし、従来の画像検査では、重大な品質異常につながる欠陥画像とその他の欠陥画像を識別できないため、最終的に大量の画像を人が再確認していました。今回、生産性の改善を目指し、既存の欠陥画像を読み込み、AI技術を用いて分類した結果を出力するシステムを構築しました。その結果、人による再確認が必要な画像を約97%削減することができました。また、重大な欠陥の見逃しは従来通りゼロを実現するとともに、AI技術による不良分類の再現率は100%を達成しました。なお、これらの取り組みは社内クラウドの活用など、すべて社内リソースで実現しました。また、ユーザーインターフェイスなどを充実させることにより、ブラックボックスがなく、作業者が使いやすいシステムとして構築することができました。

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ChatGPTをはじめとする生成AIは、私たちの業務のあり方を大きく変革する可能性を秘めている一方、情報漏洩や著作権の侵害など様々なリスクも指摘されています。そのため、業務で生成AIを利用し期待する効果を得るためには、その特性をよく理解し、正しく利用することが重要です。
当社グループは、2024年度から業務の質の向上と生産性向上に向けて、DOWA版汎用生成AIの稼働を開始しました。それに併せて、生成AIを安全かつ適切に利用するために「DOWAグループ生成AI使用ガイドライン」を定めました。本ガイドラインは、生成AIを利用する際の統一ルールを明確化し、生成AIを正しく使いこなすことを目的としています。
2022年7月に経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。DX認定制度は、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の項目に対応し、DX推進の準備が整っている事業者を国が認定するものです。