2024年10月10日
DOWAホールディングス株式会社
(コード番号:5714 東証プライム市場)

 

当社(東京都千代田区外神田四丁目14番1号 資本金:364億円 社長:関口 明)子会社のDOWAエレクトロニクス(株)(同所 資本金:10億円 社長:鈴木 健彦)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)との共同研究により、酸化物系の全固体リチウムイオン電池(以下、全固体電池)向けとして世界トップクラスの低温焼結性能を有するガーネット型※1固体電解質を開発し、販売を開始しました。
※1 ガーネット型:ガーネット(ざくろ石)が持つ結晶構造と同様な結晶構造で[A]7[B]3[C]2O12(A,B,Cは遷移金属などの元素)の組成を持つ物質

 

全固体電池は、現在普及しているリチウムイオン電池(以下、液系電池)と異なり、電解質が液体ではなく固体であることから、発火リスクが低く、安全性・信頼性の高い電池です。また、電池の高出力・大容量化や充電速度の向上が可能である、低温環境での出力が安定するなどの特徴から、自動車用途や電力貯蔵などの大型電池向けへの実用化が期待されています。
固体電解質には主に硫化物系と酸化物系があり、電解質が燃えない酸化物系は、硫化物系よりも高い安全性・信頼性を実現できます。また、酸化物系の中でも、ガーネット型固体電解質は全固体電池のさらなる高出力化・大容量化が可能な材料として有望視されています。しかし、従来の製造プロセスでは1,000℃以上の高温で焼成する必要があることから、他の材料の劣化を招いてしまうという課題がありました。

 

今回、産総研とDOWAエレクトロニクスは、数十nm程度の微細粒子で構成されるガーネット型固体電解質の開発に成功しました。粒子径を小さくすることで、加圧成型時の密度が向上し、従来よりも低温の600℃程度での焼成ができるため、他の材料の劣化を抑制した電池の製造プロセスが実現可能となりました。なお、今回開発した固体電解質で全固体電池を試作したところ、十分な電池性能が得られています。
DOWAエレクトロニクスは、すでにNASICON型※2固体電解質を製品化しており、今回の開発品は、それに続くものとなります。
※2 NASICON型:Na Super Ionic Conductor(ナトリウム超イオン伝導体)の略称で[A]1+x[B]x[C]2-x(PO4)3の組成を持つ物質、DOWAエレクトロニクスはLAGP【組成:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3】などを製品化
 

全固体電池セル(加圧成型・焼成後)
拡大
全固体電池セル(加圧成型・焼成後)

DOWAグループは、環境・エネルギー、自動車、情報通信、医療・ヘルスケア分野を成長市場と位置付け、積極的な事業展開を進めています。これらの成長市場を支える主力製品として、DOWAエレクトロニクスでは、電池向け材料の開発・事業化を推進しています。今回販売を開始した酸化物系固体電解質はさらなる特性向上を目指し、次なる新製品を開発中であり、引き続き全固体電池の実用化や普及に向けて貢献していきます。

表.リチウムイオン電池方式比較

【参考】全固体電池の製造プロセス

【参考】開発品を使用した全固体電池の充放電特性(固体電解質LLZ, 正極NCM, 負極LTO @60℃)

【DOWAエレクトロニクス(株) 会社概要】

1. 本社:東京都千代田区外神田四丁目14番1号

2. 代表者:鈴木 健彦

3. 設立:2006年5月

4. 資本金:10億円

5. 株主:DOWAホールディングス(株) 100%

6. 事業内容:電子材料事業、その他関連事業

本件に関するお問い合わせ先

【プレスリリースに関するお問い合わせ先】

 DOWAホールディングス株式会社 経営企画部
 TEL: 03-6847-1106
 お問い合わせフォーム:
https://hd.dowa.co.jp/ja/contact/contact1.html

 

【製品に関するお問い合わせ先】

 DOWAエレクトロニクス株式会社 機能材料事業部

 TEL : 03-6847-1256

 お問い合わせフォーム : https://www.dowa-electronics.co.jp/inquiry/